SEOの王道はなぜ通用しなくなったのか?|3つの波で見る検索の構造変化

SEOの王道はなぜ通用しなくなったのか?|3つの波で見る検索の構造変化

かつてSEO強化、アフィリエイト、コンテンツマーケの常套手段とされてきたこれらの手法は、度重なるグーグルアップデートやAI検索導入により、すでにその存在意義を失いつつあります。

これらの手法が完全に無効になったわけではありませんが、従来のようにそれ単体で成果を生む構造ではなくなっています。

本稿では、Webマーケティングの現場で実際に起きている構造変化をもとに、「なぜ従来の王道とされてきた手法が通用しなくなってきたのか」を整理します。

■第1の波(2012年~)外部リンク対策の崩壊

2010年当時、GoogleではSEO対策として、内部構造の最適化と外部リンク施策によって、主要なビッグワード(月間の検索数が1万件以上ある単体ワード)で上位表示を実現することができました。

一方で、Yahoo!はGoogleとは異なる独自の検索エンジンを使用しており、特定のビッグワードにおいて、同様の施策を行っても順位は大きく変わらず、上位の検索結果は固定されているように見える状態が続いていました。

実際には完全に固定されていたわけではありませんが、評価基準や設計思想の違いにより、順位を動かす難易度が大きく異なっていたと考えられます。

私が携わっていた業界で言うと、人材サービスに関するビッグワードなどがそうでした。

内部構造の最適化もしっかりやって、Googleではビッグワード、ミドルワード、スモールワードまですべての対策ワードでSEO1位を獲得。ロングテールでの集客を実現できていました。

ところが、Yahoo!ではまったくビッグワードの順位が変動しない。行っても1ページ下位の8番目から10番目ぐらいまでしか上がらない。

当時はまだYahoo!検索からの流入が、Google検索からの流入を凌駕していた時代です。ビッグワードでのYahoo!検索からの流入を無視するわけにはいかなかった。

これが私の最大の失敗を招いてしまいます。

低品質リンクが原因でGoogleからペナルティを受け、リンク削除や否認対応に追われることになりました。

■第2の波(2018年~)独自体験に基づかない比較(アフィリエイト)サイトの崩壊

時を同じくして、AISCEASの観点から、比較検討層へのリーチとして重宝されたのが、比較サイトやランキングサイトでした。金融、保険、不動産、通信、人材といった商材やサービスは、成果報酬が高く設定され、2010年代前半は、SEOが強い個人や中小企業の比較サイトが全盛の時代を迎えつつありました。

私もどんなものなのか、GW休みの短期間に、ブログでテスト的に「●●●ランキング」といった検索にヒットしそうなターゲットワードで、10数ページの比較サイトを作ってみたら簡単に検索上位に表示させられた経験があります。SEOが分かっている人であれば、個人でも簡単に効果のあるターゲットワードで検索上位に比較サイトを表示させ、アフィリエイトを設定すれば、成果報酬を得ることができる時代でした。

ところが、先の成果報酬が高いテーマ、例えば人材系であれば、ITエンジニアの登録が獲得できたら5000円など、リスティングであればCPA(獲得単価)5万円かかるなら、5000円で獲得できるなら安いものと、各社が成果報酬を吊り上げることで、比較サイト内での対象サービスや商品の表示順位(ランキング)が恣意的に操作され、利用者にとっては、まったく信用できない比較、ランキングサイトがネット上に乱立することになります。

そこに待ったをかけたGoogleアップデートが、HCU(Helpful Content Update)になります。順位を上げるためだけに作成されたSEOが強い比較サイトはここで大打撃を受けます。

このアップデートにより、

独自体験にもとづいた評価や声が反映されているか?(一次情報+独自性)

専門性のある人が発信していて信頼がおける内容か?(専門性)

がコンテンツの内容に問われることになりました。ネット上にある情報をただ寄せ集めてきた情報、ランキングの順位や評価に対して、専門家としての独自の体験や見解に根拠がない内容については、大きく評価を落とすこととなりました。

SEOが強い比較サイトや、ランキングサイトを運営していた個人のアフィリエイターには受難の時代であり、そこからの集客に頼っていた会社も方向転換をせざるを得ない状況になりました。

■第3の波(2023年~)AI検索時代の始まり、本物だけが評価される時代に

外部リンク対策が評価されなくなり、比較サイトが淘汰され、そして現在は「情報を整理する」という役割そのものをAIが担うようになりました。

Googleのコアアップデート+AI検索を搭載することにより、ネットで何かを調べる行動自体が変わる大転換期を迎えます。何かを調べる、相談するのは、まず「AIに聞く」ことが、最も早い解決に行きつくことを知った現在では、SEOで上位表示されるだけでは、見込み客を獲得するには十分ではなくなってしまいました。

では、どうする?

簡単に言えば、

「AIにも参照される一次情報を持つこと」が重要になります。それによって、自社を、自社のサービス、商品をAIにレコメンドしてもらうことが必要になります。

例えば、

「夏休みに北海道をバイクツーリングで回りたいけど、バイクを現地でレンタルできるサービスはある?」

「AIを活用した業務改善や、業務効率化、新規サービスの構築を支援してくれる会社でおススメは?」

のように、B to Cだろうが、B to Bだろうが、まず「AIに聞く」ことが常態化している現在では、自社のサービスに関して、「検索者がどんな質問をするだろうか?」と推測することから始まります。

その質問に対して、一次情報として、

信頼たりうる人物が(その業界でのプロとしての実績がある)、

自らが経験および実践している経験を元に

自らの言葉で正確な、役に立つ、有益な情報

サイトに公開している必要があります。

ニュースやWikipediaに載っている情報を、

二次利用したようなコンテンツや、自らの経験に基づかない一般論は評価されません。

なぜなら、

その程度でよければ、AIがネット上にある情報を瞬時に集めて

体裁良く作れてしまうからです。

だから、AIには叶わない、人間のリアルな体験(一次情報)が、

クローラーが読める形で

コンテンツが作られていることが大切になります。

■実はコンテンツマーケティングのあるべき姿により近づいただけ

あれ? 

これってあるべきコンテンツを作れば良いだけでは?

そうです。

これはネット検索が始まって以来、

検索したキーワード(クエリ)に対して、最適な回答を用意する

コンテンツマーケの本質を理解していた人にとって、

むしろ歓迎すべき大転換期なのです。

SEOハックが通用しにくくなった、

あるべき検索の姿により近づきつつあるといってよいでしょう。

愚直に取材撮影を重ね、または数多の経験を積んで

検索者の切なる質問・疑問に対して、

・真実や経験を丁寧に発信してきた

・本物を作れるコンテンツマーケター

だけが力をより評価される時代になったのです。

AI時代に求められているのは、検索エンジンを攻略する技術ではありません。

顧客の疑問に対して、

自らの経験と専門性をもって「答える力」です。

検索エンジンもAIも、その価値を評価する方向へ進んでいます。

■ 著者プロフィール

田中研次(キュー・プランニング)
出版社で編集者としてキャリアをスタート後、求人メディアのWebプロデューサー、外資系人材会社のWebマーケティング責任者などを歴任。SEO・コンテンツマーケティングを軸に、採用サイト・企業サイトのグロースおよび売上拡大支援に従事してきた。現在はAI検索時代における「指名されるコンテンツ設計」をテーマに、企業の集客・採用支援を行っている。早稲田大学 教育学部 社会科学専修卒。「コンテンツは“書くもの”ではなく“成果を生むために設計するもの”」を信条とする。

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